スキーブーツ選びで失敗しない!スキーブーツのフレックス・ラスト幅(ワイズ)の選択方法
ブーツを購入した時、『痛くて履けない』『硬くて膝が曲がらない』『柔らかすぎて上手く滑れない』 こんな経験をされた方も居られると思います。
この原因の多くはご自分の足とブーツフレックスやラストがあっていないことに由来します。
今回はブーツ選びに失敗しないためにも、フレックスやブーツの幅についてご紹介します。
目次
商品名でわかるブーツの特性
レクザムのブーツですが、商品名に110Sと100Mと入っています。
110のフレックスのブーツでS(スリム)=ラスト幅(ワイズ)がスリムラストを表しています。
100のフレックスのブーツでM(ミディアム)=ラスト幅(ワイズ)がミディアムラストを表しています。
LANGE(ラング)の90フレックスでSC=ショートカフ(メーカーによってはLC=ローカフ)
アッパーシェル(ブーツ上部のシェル)が短い事を示しています。
この様に商品名には、ブーツ特性を示す用語が入っている事が多いです。
特にフレックス数値に関しては、ほぼ商品名になっている事が多いので必ずチェックしましょう
<注意事項>
フレックスはあくまでも目安としてメーカー統一のルールでは有りません。
同じメーカーで同じ数値でもブーツの種類が変わるとフレックスは異なります。
ラスト幅も同様に測る場所の違いや、基準サイズの違いなどでメーカーによって異なります。
ブーツのフレックスって何?
ブーツのフレックスは主にブーツの曲げ剛性(曲げた時の硬さ)を表していますが 原材料の硬度の為、曲げ剛性だけで無く、サイドの剛性やソールの剛性も数値が違うと変化します。
柔らかいブーツのメリット・デメリット
どのスポーツにも言えますが、上級者になれば上体をほぼ動かさず足元だけでバランスは取れると思いますが初心者はどうでしょう。
大きく体を動かしてバランスを取ると思います。
柔らかいブーツのメリットは前後動が使いやすくバランスを取りやすい事に有ります。
上級者でも、モーグルやフリースタイルスキーの場合は、前後動を多用しますので比較的柔らかめのブーツを選ぶことが多くなります。
デメリットとしてはパワー伝達能力が低い事です。
(例)全く同じ形状の消しゴムと鉛筆が有ったとします。同様に上から力を加えた場合鉛筆は、ほぼ同じ力を伝達しますが、柔らかい消しゴムは力を吸収してしまい加えた力の半分程しか力を伝達する事が出来ません。
スキーに伝える力が少ない事で、スキーを上手くたわませる事が出来ません。
また雪面から伝わる振動も抑える事が難しくなります。
雪面が荒れた時は振動を抑えるため、より多くの力を必要とします。
硬いブーツのメリット・デメリット
硬いブーツのメリットは高いパワー伝達能力で、冒頭で申し上げた通りサイド剛性やソールの剛性も上がるのでスキーの切れ感やパワーを多くスキーに伝える事で走りも上がります。
荒れた雪面等ではトップを抑える事が出来るので比較的少ない力でスキーを安定させる事が出来ます。
デメリットは、上記柔らかいブーツのメリットと逆にバランスの取りにくさになります。
スキーにパワーを伝える時には最適な膝の角度が有ります。
少し膝を曲げた状態で、踵で踏み潰すと思います。その角度が足元のパワー伝達に最適な角度です。
自分のスキーレベル以上の硬いブーツを使用した場合。膝を前に曲げる事が出来ずパワー伝達の時に後ろに腰がおちてしまい後傾になります。
後傾になる事で、スキーが走って体が遅れてスキーのコントロールを失ってしまいます。
また立ちっぱなしになってしまうと、スキーに力を伝える事が出来ず、思うようにコントロール出来なくなります。
自身のスキーレベルに有ったブーツを選ぶ事は上達の近道となります。
スキーレベルとブーツフレックスの目安
スキーレベルとブーツのフレック目安は体格や性別・脚力によって異なります。
ウィメンズ(レディース)モデルの場合は、女性の体格・脚力を考慮したフレックス数値になります。
目安を参考に自分自身の体格・脚力・目的や頻度も考慮して選ぶ必要があります。
自分が目指すスキースタイル、2年後~3年後の自分自身のスキーレベルを考慮し選ぶと良いと思います。
(例1)スキー部に入部した初心者今のレベルは初心者ですが、合宿等でスキーレベルは急激に上昇します。
初心者モデルを購入すると、その年の内に使えなくなります。
90~100フレックスのブーツを購入するのが妥当です。
(例2)年1~2回程度の中級レジャースキーヤー上記の表とほぼ同様の数値で80~90フレックスの間で購入することが妥当です。
スキーブーツのラスト幅(ワイズ)って何?
スキーブーツのラスト幅(ワイズ)はブーツの幅を表します。
カタログに記載されているラストは、ほとんどのメーカーが26㎝のブーツを基準にしています。
カタログにラスト98㎜と記載が有る場合、該当モデルの26㎝=ラスト98㎜で有ることが多いです。
※メーカーやモデルによって差はあります。
ラスト幅(ワイズ)は、自身の足幅で選ぶ事は勿論ですが、目的によっても変化します。
- 幅の狭いモデルの特徴
- 隙間が少なくパワー伝達に優れているが快適性が無い(上級者向け)
- 幅の広いモデルの特徴
- 快適性に優れているが運動性能は劣る。(初・中級者/レジャースキー向け)
自分の足幅は?幅広?
皆様は自分の足幅を計測した事が有りますか?
多くの足を計測した経験上、加圧状態で90㎜~115㎜ぐらいが日本人の足幅になると思います。
90~99㎜ぐらいだと幅が狭い方、100~105だと通常、110以上で幅広になります。
足幅だけを考慮した場合、ほとんどの方が幅の広いブーツを選択する事になりますが足自体の柔軟性やスキーブーツの慣れ、目的によってもスキーブーツの選択は変化します
ラスト幅(ワイズ)の目安
お気づきの方も居られるかもしれませんが、この目安だと日本人の大多数はスリムラストのブーツは 履けない事になってしまいます。
また110㎜以上足幅がある方は、履けるブーツが無くなってしまいます 実際110㎜以上ある人でも100㎜のブーツを履いても緩く感じる人と狭く感じる人など、三者三様です。
足には伸縮性も有りますし、ブーツへの慣れ、また人それぞれ痛みの感覚も違います。
<注意事項>
メーカーにより測り方、測る場所が異なる為参考数値になります。
使用目的・レベルによるラスト選択
ラストの選択は足幅だけでは無く、スキースタイルやレベルによっても変化します。
シーン別にどの様なラストのブーツが選択されているか見ていきましょう。
レースシーン
レースシーンではハードパックされた斜面でのエッジグリップとスキーの走りを優先する為、極力パワーロスを避け、スキー板をよりたわませる様に極力狭いブーツを履きます
92㎜~95㎜のスリム(ナロー)ラストブーツを履くことが多くなります。
スリムラストのブーツはシェルの肉厚も、その他ブーツより厚みがあり『ねじれ剛性』強く 雪面へのダイレクトなパワー伝達を可能にします。
まさにレーシングカーの運転席の様に、快適性は無いが遊びが無くステアリングでき、スピードだけを求める感覚に似ています。
レーサー全員足が細い人ばかりでは有りません、狭いブーツへの慣れとブーツの加工が履く事を可能にしています。
基礎スキーエキスパート
基礎スキーでは、エキスパートスキーヤーや、大会参加者はレースシーン同様の敏感さや操作性を求める方も多く、これらの多くのスキーヤーはスリムラストのブーツを選択するケースが多いと思います。
基礎スキー指導者・一般上級者
基礎スキーでも指導者や成長途中のスキーヤーは、パワー伝達と快適性の両立やハードバーンだけでなく様々なシーンに対応する為96㎜~99㎜のミディアムラストのブーツを選択する事が多いです。
基礎スキーはキレや走りだけで無く、スキーをずらしてコントロールする技術も多用します。
レーシングブーツの様な敏感さと長時間使用できる快適性を兼ね備えた SUVカーの様な特性が求められます。
初中級レジャースキーヤー
初・中級レジャースキーヤ―の多くは快適性を求める方が大多数です。
1日履いても辛くない、とにかく楽に過ごしたこの様なスキーヤーにはワイドモデルがお薦めです。
ワイドモデルのブーツの中に上達志向のブーツと快適志向のブーツが有ります。
上達志向のブーツはラスト幅100㎜~102㎜物が多く、快適志向のブーツは103㎜以上の物が多いのが特徴です
1BOXのミニバンの様な快適な空間ですが、操作性能は若干劣ります。
フリースタイルでは細かい操作よりランディング(着地時)の衝撃の緩和や指先への衝撃を避けるため 少しゆったり目のブーツを選択する事が多いようです。
この様にラスト幅は足幅の狭い広いだけでなく、スキーヤーの使用目的やレベルによっても変化します
どのブーツ共通して言えますが、店頭に並んでいるブーツで自分の為に作られたブーツは存在しません。
購入した時は痛みが無くても、滑走後に痛みがでるケースの多々あります。
購入時はブーツのメンテナンス面も考慮する事をお薦め致します。
ブーツを選ぶ時の指標となるフレックスやラスト幅は使用目的やスキーレベルに応じて大きく変化します。
極端な例を挙げるとレースをやりたい人が初心者用のワイドラストのブーツを履いても上達の妨げになり一向に上達しませんし、正しい操作が出来ない事で怪我や事故に繋がり非常に危険です。
また、逆に初心者のレジャー志向のスキーヤーが、スリムラストのレーシングブーツを履いてもハードなフレックスが邪魔をして操作もままなりませんし、快適性も無く1日中苦痛でしかありません。
ご自身の目的レベルに合ったブーツを使用する事は上達の近道となりますし、快適なスキーライフを送る第1歩となります。
近年、ブーツフレックスやラスト幅等がカタログに記載されるようになりました。
これらの情報は、最適なブーツの参考になりますので、ブーツを選ぶ前にしっかり確認しましょう!