STOCKLI(ストックリー) スキー板2022-2023最新モデルの徹底解説!
創業者であるヨーゼフ・ストックリーは、1935年に両親が経営する工務店の敷地内に、スキーブランド会社「ストックリー AG」を設立することを決意しました。
その製造工場はスイスで初めてのスキー製造工場として残っています。
ヨーゼフ・ストックリ―の思考はかなり独創的で、木製スキー板から始まり、ラミネートウッドスキー、メタルスキー、プラスチックコンパウンドのスキー板など、数々のスキー板をこの世に送り出してきました。
ストックリー社は今なお進化を続け、確かな経験と技術力でユーザーの欲求を満たす、最高のスキーを日々製造しています。
今回はSTOCKLI(ストックリー) の2022-2023モデルの最新スキー板を徹底解説していきます。
LASER FIS(レーザー・フィス)シリーズ
ストックリーが世界に誇る純競技用レースモデルのスキー板です。
LASER GS FIS (レーザー・ジーエス・フィス)
FISレギュレーション対応GS(ジーエス)モデル/上級レーサー
2021-2022シーズンのワールドカップ、2022年北京五輪のGS(ジャイアント・スラローム)競技で金メダリストのマルコ・オーデルマット(スイス)選手も使ったスキーです。
基本的に男子のGS(ジーエス)の場合は193cmのラディウス(回転半径)R≻30mを使用し、 基礎(デモ)で使う場合は184cmのラディウス(回転半径)R₌24mを使用します。
これらをストックリーのアルペンとデモの選手に提供しています。
「LASER GS FIS」はサイドウォールにフェノール素材を使っているのが特徴です。
通常の「LASERシリーズ」よりもターンのマキシマムでの雪面抵抗が非常に少なく、中盤から後半でのスキーが抜ける減速要素が少く、非常に良いです。
2つ目の特徴としてはソールです。
元々、滑走性の高い滑走面(ベース)を作る必要がありましたが、現在ワールドカップではフッ素のワックスが禁止されています。
それに対応するため滑走面のカーボン含有量を非常に高くしています。
通常のグラファイトの総量よりもさらに滑走性の高いソールとしてレーシング用に仕上げています。
基本的はスペックやメタルの厚み、ウッドコアの構成に関しては2021-2022シーズンとほぼ変わりません。
特徴をまとめると以下の通りです。
①サイドウォールに使われているフェノール素材の減速要素が少ない。
②ソールに使われているカーボンの配合量を増やして滑走性を高くしている。
LASER SL FIS (レーザー・エスエル・フィス)
FISレギュレーション対応SL(エスエル)モデル/上級レーサー
男子は165cm、女子は155cmというサイズがメインです。
アルペンの選手や、基礎(デモ)の選手の中でも通常の「LASER SL」ではなく、こちらのFISモデルを技術選手権の小回り種目で使う選手もいます。
「LASER GS FIS 」と同様に特徴としては、
①サイドウォールに使われているフェノール素材の減速要素が少ない。
②ソールに使われているカーボンの配合量を増やして滑走性を高くしている。
2点が挙げられます。
「LASER GS FIS 」と「LASER SL FIS 」は、スキーの構造と使っている素材は基本的に同じなのですが、サイズレンジ・使用用途・ターン弧の大きさに応じて中のメタルの厚みなどを調整しています。
LASER (レーザー)シリーズ
オンピステをメインとするフルカービングのオールラウンドモデルのスキー板です。
LASER GS (レーザー・ジーエス)
上級デモ(基礎)・オールラウンドモデル(大回り用)
「LASER GS FIS」よりも少しオールラウンド性を持たせた大回り用のスキーです。
基礎(デモ)のプライズテストのテクニカル・クラウン、あるいは技術選手権の都道府県予選、地方予選で使用できるスキーです。
「LASER FIS」シリーズと同様にサイドウォールにフェノール素材が使われています。
フェノール素材の含有量とレジンの材質を、「LASER FIS」シリーズよりも少しグレードをマイルドにしています。
「LASER FIS」シリーズと比べると減速要素や雪面抵抗の摩擦に関しては若干劣るのですが、通常のスキーには使われない、いわゆるストックリーならではの技術としてサイドウォールのフェノール素材が使われている点が特徴です。
また、もう一つの特徴として、「CSC(シー・エス・シー)」と呼ばれるカーボンプレートをストックリーのトップ部のロゴ辺りに1枚内蔵しています。
そうすることによりターンの前半・中盤、スキーが雪面から受ける抵抗をこのカーボンプレートが吸収し、雪面コンタクトを安定させます。
「CSC」はこの「LASER GS」と、「LASER WRT ST PRO (レーザー・ダブルアールティー・エスティー・プロ)」のみの採用となります。
LASER SL (レーザー・エスエル)
上級デモ(基礎)・オールラウンドモデル(小回り用)
「LASER SL」は、ストックリーの販売量の約4分の1の台数を占めるスキー板です。
基本的には小回りベースの165cmがメインサイズとなり、男性の場合で165cm、女性の場合で160cm、使用用途は小回り系のオールラウンドスキーです。
ストックリーの中でも一番オーソドックスでバランスが良いスキーに仕上がっています。
材質はフェノール素材のサイドウォールを採用し、非常に汎用性が高いスキーです。
センター幅が66mmと細めなのでグルーミングされた圧雪バーンを一番得意とします。
技術選手権の小回り用として使う選手もいますし、1本でテクニカル・クラウンを狙いたい方にも対応できます。
テールの形状を絞って細くしてあるのでスキーの操作がしっかりできる方には非常にキレの良いスキーに感じます。
「LASER GS」と「LASER SL」に関しては、今までビンディング+プレートが「SRT Speed D20(エスアールティ・スピード・ディー20)」や、「SRT 12(エスアールティ 12)」というセット販売をしていたのですが、やはり技術戦の小回りや大回りで使いたいという要望もあったので、今季に関しては「WC D20(ワールドカップ ディー20)」という強いプレートと「WRT 16FF(ダブリュアールティ 16 フリーフレックス)」というビンディングのセッティングや、同じプレートで「WRT 16FF」というビンディングを付けたセットも今回バリエーションとして増やして強化しています。
LASER SC (レーザー・エスシー)
上級デモ(基礎)・オールラウンドモデル(小回り用)
「LASER SL」と同じぐらいの販売量を誇るストックリーの中で、唯一、1本で何でもできる究極のオールラウンドスキーになります。
基本的には「LASER SL」とほぼ同じ性能の兄弟関係にあたるスキーです。
唯一の違いはセンター幅が72mmということです。
「LASER SL」のセンター幅66mmと比べて幅があるので、ターンマキシマムの部分に関しては「LASER SL」の方がしっかり食いついて強いターンができます。
「LASER SC」はセンター幅72mmと幅が広いので、雪が悪くなってきた時も足元の浮力が得られますので、圧雪されたバーンから3月のザラメ雪などにも対応出来て、非常にスキー操作も軽いです。
またセンター幅が広い分、過度なエッジングがないのでスキーをズラすコントロールがしやすいです。
1本でいろいろなシチュエーションを楽しみたい方にはうってつけのオールラウンドスキーになります。
メインサイズは170cmになっています。
対象スキーヤーのイメージとしては「LASER SL」がテクニカル・クラウン向きで、「LASER SC」は指導員・準指導員向きになっています。
低速種目は「LASER SC」がズラしも操作もしやすくなっています。
LASER SX (レーザー・エスエックス)
中~上級デモ(基礎)・オールラウンドモデル(中回り用)
2022-2023シーズンのNEWモデル扱いになりますが、スキーの造り・ウッドコアの配置などの中の作りに関しては、2021-2022シーズンの物と変わりません。
唯一の変更点はトップシートの材料になっています。
コンセプトはスキークロス用の「LASER SX FIS(レーザー・エスエックス・フィス)」というスキーをベースに、中回りベースのオールラウンドスキーということで、スキーがどっしりした感じになっています。
「LASER SC」は小回りベースで、スラローム系をベースにオールラウンド化した物ですが、 「LASER SX」は中回りをベースにしたオールラウンドスキーになっています。
中回りベースのオールラウンドスキーという形ではありますが、センター幅は70mmということで、「LASER SL」と「LASER SC」の間くらいのサイドカットを持つスキーになっています。
大回り・中回りはもちろん行けますが、テールが非常に動きやすいスキーのため小回りも十分行けます。
ちょっとどっしりとしたオールラウンドスキーが欲しい方におすすめです。
メインサイズは173cmですがどっしりしている分、日本では165cmも注目サイズです。
LASER CX (レーザー・シーエックス)
中~上級デモ(基礎)・オールラウンドモデル(小回り用)
「LASER SL」をベースにウッドコアの材質を変えて全体的にしなやかにした感じのスキーです。
プロポーションとしてもセンター幅が69mmに対してトップ幅122mm、テール幅101mmとかなり幅のあるスキーに仕上がっています。
スキー全体のしなり(フレックス/トーション)のバランスを、「LASER SL」のスキーよりも一段少しマイルドな感じにしています。
カービング性能に関しては若干強いのですが、そこまでスキーが切れ込む感じではありません。
これからテクニカルや準指導員を目指したいという上達志向のあるSAJ1級レベルの方だと非常に使いやすいです。
「LASER SL」では返りが強い、ターン後半に板が走り過ぎてターン弧を綺麗に描けない方にはしなやかマイルドな「LASER CX」をおすすめします。
LASER MX (レーザー・エムエックス)
中~上級オールラウンドモデル(レディース・シニア向け)
ストックリーのシリーズの中でも唯一レディース&シニアモデルとして登場しているスキーです。
サイズレンジも146cm・152cm・158cm・164cmと比較的レディースとシニアの方に寄せています。
基本的な構造に関しては「LASER SL」から引き継いでいますが、ウッドコアの配置・材質・メタルの厚みなどを変えて、軽量化しているオールラウンドのレディースシニアスキーです。
非常にしなかやで軽量の仕上げになっているので脚力のない方におすすめです。
LASER WRT ST PRO (レーザー・ダブルアールティー・エスティー・プロ)
上級オールラウンドモデル
2022-2023シーズン新しく登場した「LASER WRT ST PRO」というスキーになります。
このスキーは現在、ストックリーのワールドカップのトップ選手が使っている選手用のスキーに使われている材質・テクノロジーを集結した日本の基礎(デモ)のエキスパート用のスキーとして登場しました。
「LASER FIS」シリーズに関しては、サイドウォールにフェノール素材が使われていますが、このスキーに関してはフェノール素材に加え、カーボンを配合して通常の「LASER FIS」シリーズよりもさらに雪面抵抗の少ないサイドウォールを採用しており、最新のブラック・サイドウォールになっています。
滑走面に関しては「LASER」シリーズのカーボンよりも配合量が多いブラックソールになっていて、完全にレーシング用のソール(滑走面)を使っています。
ストラクチャーも通常の物とは違い、センターツリーの部分の溝が細かかったり斜めになっていたりします。
センターツリーではあるものの、間隔が広かったり、直進性を強く、安定感を出すため工夫されたストラクチャーが入っています。
「LASER GS」にはスキーのトップの減衰を穏やかにする「CSC」というカーボンプレートが採用されていますが、「LASER WRT ST PRO」には「CPT(カーボン・パワー・ターン)」というシステムを採用しています。
「CPT」はカーボンのプレートをビンディングの先端からプレートのテールまでの真下のスキーの内部に入れています。
通常、スキー板に入っているカーボンプレートはカーボンの線をクロスで組んで、縦の方向、横の方向に対して非常に減衰を穏やかにしています。
一方、こちらのスキーに関しては縦方向のカーボンプレートを1枚入れています。
「LASER FIS」シリーズのレーシングスキーは真っ直ぐ落ちていくだけで、スキーがたわんで返ってくることでターンをするのですが、その返りのレスポンスアップのために、単一方向の直進性に優れたカーボンプレートを1枚入れることで、スキーの返りを良くしたり、ターン後半の加速力をアップさせます。
このシステムを「LASER FIS」シリーズに導入したいのですが、このシステムを他のモデルに投入してしまうと一般に販売しているスキーが非常に難しいスキーになってしまうので、今ストックリーが持っている技術を多くの方に味わって頂きたいということで「LASER WRT ST PRO」を基礎(デモ)のエキスパートモデルの中でも一番のハイエンドモデルとして発売しました。
すべてにおいて最高のものを使用したプレミアムスキーです。